ノウフクマガジン#153

ノウフクピックアップ

NEW 2025年3月9日

ノウフク・アワード2024 表彰式＆シンポジウムが開催されました

1月23日(木)、東京都内の会場でノウフク・アワード2024表彰式＆シンポジウムが開催され、各賞を受賞した団体などが出席しました。

※表彰式＆シンポジウムの様子はYouTubeのノウフク公式チャンネルで公開されたアーカイブ配信でもご覧いただけます。

皆川会長からの挨拶

農福連携は今後、点的な存在ではなく、面的な広がりを持たせていこう

冒頭に挨拶した、農福連携等応援コンソーシアム皆川芳嗣会長は「能登半島地震や闇バイトといった様々な社会現象が起こった一年であった」と2024年を振り返った上で、「農福連携が目指す地域共生社会とは逆行する動きが強まっている気がしてならない」と強調しました。

一方で、農福連携としての2024年は画期的な年であったとも述べ、昨年5月に改定された「食料・農業・農村基本法」や、昨年6月に策定された「農福連携推進等推進ビジョン2024改訂版」について触れ、「誰一人取り残しのないような地域共生社会の実現に向けて、農福連携の質をさらに高め、点的な存在ではなく、面的な広がりを持たせていく」と決意を述べました。

祝辞

官房長官、農水相、厚労相、法務相、文科相から祝辞をいただく

コンソーシアムの構成会員・団体を代表して以下5名からの動画により祝辞をいただきました。

• 林芳正 官房長官
• 江藤拓 農林水産大臣
• 福岡資麿 厚生労働大臣
• 鈴木馨祐 法務大臣
• 阿部俊子 文部科学大臣

表彰状・トロフィー授与

グランプリを受賞した株式会社菜々屋（徳島県徳島市）と、一般社団法人STEP UP（宮崎県宮崎市）へ、皆川会長から表彰状と、ノウフクアンバサダー 城島茂さんからトロフィーが授与されました。

グランプリ受賞者からのコメントは以下の通りです。

• 菜々屋　矢野取締役
  「（今後の目標について）徳島県全域にて行政間、企業間連携を進め、農福連携を強めていこうと思う」
• STEP UP　堀川代表
  「（団体の強みについて）当事業所では、すべての工程に障害のある方が携わっている。一人一人の強みを活かした活動を行っている」

準グランプリ「人を耕す」、「地域を耕す」、「未来を耕す」のそれぞれの部門を受賞したNPO法人熊本福祉会（熊本県熊本市）、株式会社ココトモファーム（愛知県犬山市）、株式会社八天堂ファーム（広島県三原市）へ、濱田健司審査委員から表彰状と、ノウフクアンバサダー 城島さんからトロフィーが授与されました。

準グランプリ受賞者からのコメントは以下の通りです。

• 熊本福祉会 奥野理事長
  「（同社の強みについて）求められる人材の育成という部分を掲げ、利用者から職員また、農家から一般就労に力を入れている」

• 株式会社ココトモファーム 齋藤代表
  「（同社の強みについて）農福連携を通じて地域の農家様や企業様との交流を深め、誰一人取り残さない居場所作りに取り組んでいるところだ」

• 八天堂ファーム 林代表
  「（今後の目標について）農福連携並びにノウフクJASの普及とともに、加工品の開発や販路拡大付加価値を創出するプラットフォームを構築していく」

• 羽生ふじ高等学校（埼玉県羽生市） 生徒代表の深澤さん
  「今回の受賞を励みに、学校生活でより一緒に、より一層頑張って成長していきたい」

• ステップ・ワン 根上理事長
  「（今後の目標について）農福連携を通じて、地域で障害を持った方が農業にしっかりと携われるように今後も続けていきたいと思う」

• JAぎふはっぴぃまるけ 伊藤代表
  「（今後の目標について）昨年から有機農業や空きハウスの再生事業に取り組み始めている。こうした事業を通じて職員が生きがいを持って仕事してくれること、そして地域の皆様や色々な方や我々の農場に集まってくれる、そんなことを目指して新しくチャレンジしていきたいと思う」

• 小国町社会福祉協議会 佐藤会長
  「（今後の目標について）障がい者が活躍できる地域共生社会を作っていくために、地域住民との交流や就労者の育成に取り組んでいく」

• 竹福商連携による竹の資源化モデルの構築 大崎町政策研究員 田中さん
  「（大崎町の強みについて）鹿児島県大崎町はみんなで紡ぐ結いの街をスローガンとしている。腹の底から笑える。楽しさが連鎖する。うちと外がつながりが楽しさを生み出す。福祉＝ウェルビーングを具体化している。ぜひ一度お越しください」

• ケアプロフェッショナル 岩崎代表
  「（今後の目標について）伊勢ワインを飲みたいから伊勢に行こう。そう言っていただけるように頑張っていきたいと思っている」
  
• 上野丘さつき会 支援員 佐原さん
  「（おすすめのサービスや商品について）神戸市北区の肥沃な土地ですべての工程を自前で行い、ブランド展開中の米、神戸米っこ物語のキヌヒカリとコシヒカリがおすすめ」

• ライヴ 大田理事長
  「（同社の強みについて）NPO法人ライヴは海産物を作っている。そのほかに郷土芸能、音楽活動にも力を入れており、三刀流で活動している。みんなの無限の可能性を信じて、取り組んでいる」

• ハイジ福祉会 山口理事長
  「（今後の目標について）担い手不足の農家さんと福祉がタイアップして、農福連携を拡大していく」

• 沖縄ＵＫＡＭＩ養蚕 仲宗根代表
  「（今後の目標について）今後も沖縄から社会の課題解決につながるようなものづくりを、メンバーとともに取り組んでいく」

中嶋審査委員長による講評

農業経営体が主体の取組として菜々屋、
福祉事業所が主体の取組としてSTEP UPをグランプリに選定

表彰状授与の後、中嶋康博 審査委員長にノウフク・アワード2024の講評をしていただきました。

中嶋委員長は「前年の198団体を上回る205団体の応募があり、審査委員会では『人を耕す』、『地域を耕す』、『未来を耕す』という3つの評価軸から、多様な視点、切り口から評価した」と紹介。

グランプリについて「農業経営体が主体となる場合として菜々屋を、福祉事業所が主体となる場合としてSTEP UPをそれぞれグランプリとして選定した。審査委員会の方針としては、必ずしもこの2つの分野について、それぞれグランプリを選ぶということではないが、結果として昨年に引き続き、2分野それぞれ受賞者を選定した」と説明しました。

また、ノウフク・アワードについて、「農福連携を国民運動としての機運を高め、農福連携の全国的な展開を広げることを目的としている。全国には素晴らしい活動を行なっている団体が数多くある中で、中々表に出る機会が少ないのが現状。ノウフク・アワードへの応募を通じて自分たちの活動を見直すきっかけとし、新たな可能性を広げてほしい」と語りました。

最後に「ノウフク・アワードを通じてまとめられたグッドプラクティス（優れた取組）は、ノウフクの財産であるとともに、日本の農業、日本の福祉の財産でもある」と強調。「これからも農福連携に取り組まれているすべての皆様に、このノウフク・アワードに応募してほしい。一度受賞してもさらに上位の賞に挑戦することもできる」と来年度の開催に向けて積極的な応募を呼びかけました。

感謝状の授与

応募のあった農福連携サポーターズの取組の中で本コンソーシアム会員から最も得票があった株式会社アクアヴェールへ感謝状が授与されました。

本コンソーシアムでは今年度から新たに、農福連携等に取り組む事業者を支援する企業や法人等を「農福連携サポーターズ」として募集し、本コンソーシアムの会員がもっと広がってほしいと考える優れた取組に対して、感謝状を授与することとしています。

グランプリ受賞者による講演

シンポジウムでは、グランプリを受賞した2団体による講演が行われました。

菜々屋からは、松原代表が「新しい農業をデザインする」というテーマで、菜々屋の歩みや徳島県の広い地域での農福連携の取組、さらにすだち産地への支援などについて講演されました。

STEP UPからは、堀川代表が「みんなで支える農福連携」というテーマで、法人設立の経緯や農業と福祉の間での葛藤、矯正施設出所者の受入れなどについて講演されました。

城島茂さんからのコメント

自分自身の心も耕されているように感じた

シンポジウムの最後にステージに登壇した城島茂さんは「年々規模が大きくなり、様々な事業所や支援学校に加え、県や市も受賞されており、ノウフクに携わる皆様の思いがここまで広がっているのかと感動した」と述べ、「人を耕し、地域を耕し、未来を耕すというのはとても大切なことであり、自分自身の心も耕されているように感じた。この熱い思いを全国に広げ、次世代へと繋いでいきたい」と熱意を込めて語り、締めくくりました。

関連情報

ノウフクWEBでは「受賞者が耕す未来」と題した連載がございます。受賞団体の取組をより多くの人に知ってもらうため、受賞者自ら取組について紹介していただいております。こちらもぜひお読みください。