知的・精神障がい者の農作業能力を評価!静岡県立農林環境専門職大学のチームが実践研究
静岡県立農林環境専門職大学 生産環境経営学部 太田智准教授と森口卓哉教授の研究チームが、知的・精神障がい者の農作業能力を定量評価することを目的とした研究論文を発表ました。本研究では、難易度の異なる3種類の作業(袋掛け、収穫、摘果)を通じて、柑橘栽培における参加者の作業理解度と作業効率を測定。
本論文は、日本園芸学会が発行する、査読付きの英文学術雑誌「The Horticulture Journal」に掲載されました。
研究の概要
研究に参加したのは、各作業を初めて行う知的障がい者45名、精神障がい者12名、健常者15名の計72名。同学にある平地のほ場で、中〜晩生の3品種(しらぬい・はるみ・せとか)の柑橘栽培における作業のうち、脚立を使わずに手が届く高さで行うものについて、作業前に視覚的教材や実演を用いて説明してから作業評価が行われました。
主な結果
袋掛け(難易度:易) | 収穫(難易度:中) | 摘果(難易度:難) | |
作業理解度 | 96% | 50% | 40% |
作業効率の健常者比 | 55% | 71% | 111% |
- 作業理解度:袋掛けでは果実がきちんと袋の中に入っているか、収穫では果梗(かこう)の根元から切れているか、摘果では葉と果実の比率が適切であるかなどを測定して算出
- 作業効率:「作業内容を理解できた障がい者」の1分あたりの作業数から測定して算出
作業の難易度が上がるほど理解できる人は減少しましたが、作業を理解した障がい者の中には健常者以上の作業効率を示す人も存在しました(摘果では、健常者も慎重に作業を行っていたため、平均効率が両者で同程度になったと考えられるそう)。知的・精神障がい者でも、作業内容やサポート体制を工夫すれば、農作業に十分に参加できることが示唆されました。
農業現場への理解促進や説明の際などに参考となる内容ですので、詳しくは原文をお読みください。