ノウフクマガジン#18

ノウフク×〇〇
2021年12月6日

ノウフクと触法障がい者について

今回は一見ノウフクと関わりのないように思える表題の件について、少しお話しようと思います。

「触法障がい者」とは

早速ですが、「触法障がい者」という言葉を聞いたことがありますか?

普段関わりのない方にとっては中々なじみのない言葉かもしれませんね。簡単に言うと、罪を犯してしまった障がい者の事を言います。再犯した障がい者のことを「累犯障がい者」と言います。

罪を犯してしまっている、あるいは繰り返してしまっている障がい者には、当然ながら様々な背景があります。

原因いろいろ

幼い頃から虐待やネグレクトを受けていたり、ご両親とも障がい者でそもそも家庭に養育機能がなかったり、差別による地域社会からの拒絶があったり、刑事司法と福祉の狭間にあって福祉サービスへのアクセスができなかったりなど、必ずしも犯罪の原因の全てがその人自身によらない場合も一定数あります。

再犯してしまう要因の一部は先述した通りですが、法務省ではこれを「負の回転ドア」と呼んでいます。中には健常者に利用され犯罪に手を染めてしまった方もいます。そして、軽微な犯罪であることが多いのも事実です。このように、家族も福祉制度の支えもなく軽微な犯罪の累犯化している知的障がい者が多く存在しているのです。

うーん、社会が触法障がい者を生み出してしまっている、とも言えるこの状況。
もちろん全てではないでしょう。でも、やっぱりこれはとても悲しいことです。

ちなみに新規受刑者の3割は知的障害があると言われています。また、刑務所に再び入った人のうち、約7割が再犯時に無職であるなど、不安定な就労が再犯の大きな要因となっていることから、刑務所出所者等の就労の確保は極めて重要だといえます。

しかしながら、出所者らの多くは知的障害があるが故に就労経験に乏しかったり、能力的な制約があったり、就労にあたる困難が伴います。うーむ、どうすれば…。

ノウフクの出番だ

そうです、そこでノウフクの出番です!
ノウフクには福祉の受容力、農業の持つ仕事の細分性、両方に存在する多様性という強みがあります。「農の福祉力」なんて言われたりもしますが、出所者の居場所をつくる上で一定程度はノウフクで貢献できる部分があると、多くのステークホルダーが気づき、動き始めています。

ある少年院の職員の方の言葉をお借りすると、「農業と矯正教育は相性が良い」のだそうです。現在全国77の少年院・刑務所において,農作業や農業関係の職業訓練を実施しています。そして、触法障がい者の方にとっても、農福連携の枠組みを活用して農作業を行うことはとても有用であると認識されつつあります。

しかし!花の木農場も含め、肝心の現場は一筋縄ではいきません。
出所者が順調に更生に向かうことができているのかと問われると、まだまだ課題は山積みです。そもそもこの課題を、ノウフクで全てを解決できるはずもありません。でも、実践と課題を共有したノウフクを実践している事業所が増え、横の連携が増え、トライとエラーの事例が増えれば、この課題に立ち向かうことはできるはずです!

連携による解決の可能性

1つのノウフク事業者ができることは決して大きくはないけれど、正解のないことだけれど、強みを持ち寄り多様なステークホルダーが連携をすることで誰かが救われる。

農福連携はそんな可能性をまだまだ秘めているような気がしてなりません。

投稿者: 天野 雄一郎

NPO法人たがやす理事。大隅半島ノウフクコンソーシアムプロジェクトマネージャー。農林水産省認定農福連携技術支援者。ノウフクJAS検査員・ASIAGAP指導員。2030SDGsファシリテーター。社会福祉法人白鳩会花の木農場元総務。農福連携やSDGsの文脈でローカルでの場づくりや組織づくり、連携から創発されるプロジェクト運営を行う。

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