ノウフクマガジン#41

ノウフク・アワード
ノウサイドな福祉
2022年9月26日

ノウフク・アワード

みなさん、こんにちは。
ノウフクマガジン編集部の小淵久徳です。

今回のテーマは、「ノウフク・アワード」と題してお届けしたいと思います。

ノウフク・アワードとは

ノウフク実践者に光を当てる

2020年に始まったノウフク・アワードは、これまでノウフクを実践してきた人々や様々な取り組みに光を当てて、その事例を発掘・表彰するものです。そして、農福連携等の輪を拡大し、新たな知恵や気づきを社会に発信していくことを目指し、農林水産省をはじめとする関係省庁と関係団体が協力して「耕すみんな」を応援するための団体として設立された「農福連携等応援コンソーシアム」が主体となっています。

ゆずりは会 菜の花は、審査員特別賞「人を耕す」を受賞!

私の所属する、社会福祉法人ゆずりは会の菜の花は、ノウフク・アワード2021において最高賞のグランプリに次ぐ、審査員特別賞「人を耕す」を受賞いたしました。全国にたくさんの素晴らしい取組が広がっている応募の中から、このような栄えある賞をいただけたことは、私はもちろんのこと、現場で活躍している利用者や職員のみんなも本当にうれしい出来事でした。もちろんグランプリを獲得できなかった残念さもありますが、何よりこの「人を耕す」賞がいただけたことは、菜の花がこれまで生み出してきた様々な連携を評価していただいた結果であり、本当に価値あるものと思っております。

菜の花の「人を耕す」活動とは

さて、今回は、菜の花がノウフク・アワードで評価していただいた、どのような「人を耕す」活動をしてきたかについてお伝えしていきたいと思います。

黎明期は内職作業中心だった

菜の花は、2014年に群馬県の前橋の西端に法人本部の事業所の利用定員を分割するため、のれん分けをする意味合いで、同じ町内に法人3番目の就労支援事業所として開所いたしました。開所当初は、内職作業(プラスチック製品に付いているシールをはがす作業)とパソコン解体(使用済パソコン等の電子機器を解体しレアメタルを取り出す作業)と農作業の3本柱で活動をしていました。利用定員は20名で、その当時から利用者のほとんどが知的障害のある方たちです。今でこそ、農業で一年の作業を組み立てることができるようになりましたが、この頃は、まだ内職作業などにも頼らざるを得ない状況でした。

理念の「高工賃」を目指し農業に軸足を移す

これまでのノウフクマガジンにもお示ししてきましたが、当法人の理念は「高工賃と就労支援」というとてもシンプルなものです。みんなと共に活動して、より高工賃になる作業や仕組みを突き詰めていくという、分かりやすさの中に厳しさもある理念です。この「高工賃」という理念を実現するために、やはり農福連携による作業は欠かせないものでありました。実際、年々、農業によるウェイトが大きくなり、今では利用者全員が農作業に携わることができ、また、売上も90%以上が農業関連によるものとなりました。

農福連携による農作業は、畑や田んぼという大きなステージで行われ、解放感にあふれています。その一方で、失敗や成功も包み隠しようがないという一面も持ち合わせていることも事実です。「菜の花のあの畑は全然うまくいっていないな」など、地域に丸見えなので、数年前は近隣の農家さんも少し冷ややかな目で見ていたと思います。しかし、丸見えであるからこそ、われわれの農業に対する真剣さや利用者のみんなが汗を流して毎日頑張っている姿も見てもらえるという良い面もあって、少しずつ農業の実績が上がってくるとともに、地域のプロの農家さんが我々に作業を頼んでくれるという嬉しい連携も生まれ始めました。

地域の園児や児童に農業体験を提供する

つながりという意味では、地域連携を意識した地域活動を農業を通じて生み出そうと、毎年、地元小学校の5年生を受け入れ、総合学習の中の学びである「お米の育て方」の実践授業で田植え稲刈りを行ったり、同じく地元保育所の年長さんたちと田植え稲刈り体験の場を提供したりするなど行ってきています。このようなつながりをいただいているお陰で、この地区の小学校を卒業した子供たちはみんな、お米の育て方はもちろんのこと、菜の花のことも知ってくれています。

地域のライスセンター機能を果たす

また、我々の事業の一つである、地元の農家さんのお米の乾燥調製を受託するライスセンター作業では、地域の60軒にも及ぶ農家さんや福祉施設のお仲間とつながりをいただいています。

まだまだある!多様な人と人との連携

その他、毎年、都内の大手企業の社員さんとそのご家族が菜の花の田んぼで田植え稲刈りを体験しながら、そのお米を全量買い上げていただけるオーナー制度や、農福連携クラフトビールプロジェクトへ自然栽培のビール麦の提供、地元群馬の酒蔵へ自然栽培のお米(コシヒカリや亀の尾)の提供など、今では本当に様々な連携をいただけるようになりました。

このような「人を耕す」取り組みを評価いただき、ノウフク・アワード2021の審査員特別賞を受賞することができたものと感じております。

受賞後に起こったこと

そして、菜の花では、このノウフク・アワードを受賞して、様々な変化が起こりました。

メディア露出が増えて…⁉︎

やはりその一つに様々なメディアで取り上げていただける機会が大幅に増えたことが挙げられます。うれしいことに日本で唯一の日刊農業専門紙や、野菜の出荷でお世話になっている地元農協の広報誌に初めて取り上げていただけたことは、これまであまり接点のなかった方々に農福連携や菜の花のメンバーの頑張りを知っていただく良い機会になりました。実際、紙面を見たというからお問い合わせをいただき、新たな取引につながるケースもありました。

一般社会とつながること、一般社会に参加すること

 このように、これまで菜の花では、毎日の活動の中で、農業を通じた人とのつながりを生み出していこうと意識して取り組んできました。どうしてかというと、私どもの事業所に通ってきている利用者さんは残念ながら、自宅やグループホームと菜の花の行き来しか社会を持ち合わせていない方も多くいるためです。

近年の障害者福祉の分野のテーマともなっている「ソーシャルインクルージョン」や「ダイバーシティインクルージョン」とは、誰もが社会の一員として包み支えあうこと、個性を尊重し、違いを認め合って、良いところを活かすことです。その意味において、我々の毎日の活動は、福祉的就労の中で一般の社会経済活動に参加することです。みんなの個性や特性を活かしながら、生み出した野菜やお米を一般の皆さんに選んでもらい、賃金を得る活動です。これはだれかとつながっていかなければ、成り立ちませんし、そうでなければ持続もしません。だからこそ、毎日の活動の中に社会とのつながりを作って、利用者はもちろん職員のみんなも社会の一員としての立ち位置を感じられるようにしたいという思いで、様々な方々とのつながり生み出してきたように思います。

ノウフクの多面性は可能性

最後に、農業やノウフクの活動には単に食料や農産物の供給することだけでない、多面的機能があります。その一つには福祉的な機能も挙げられます。癒しや安らぎ、健康の維持や機能回復、やりがいや居場所。

そして、みなさんが当たり前に毎日しているノウフクの活動も、地域の山や川を守ったり、そこに集う人々をつなげるなど地域社会を振興することにもなっているのでは…⁉︎

ノウフクの可能性、多面的機能には、まだまだ限りがありません。

応募しよう!ノウフク・アワード2022!

さあ、全国のノウフクに携わる皆さんも今一度、自分たちの取組を見直してみてください! 素晴らしい面をたくさん持ち合わせているはず。

そして、応募しよう!ノウフク・アワード2022!

ノウフク・アワードに応募する

投稿者: 小淵 久徳

社会福祉法人ゆずりは会理事。ノウフクJAS検査員。自然栽培パーティ関東ブロックリーダー。農福連携技術支援者。農福連携特例子会社連絡会オブザーバー。農業による就労支援を実践。全国の農福連携のリーディングモデルとなることを目指す。

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