ノウフク・マガジン#4

ノウフク・ピックアップ
2021年3月18日

ノウフク・アワード2020表彰式ノウフク・シンポジウム開催レポート

全国初となる「ノウフク・アワード」表彰式をオンラインで配信!

021年3月12日に、農福連携等応援コンソーシアムが「ノウフク・アワード2020表彰式」および「ノウフク・シンポジウム」を開催しました。

今回、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、表彰式とシンポジウムは完全事前収録を行い、オンライン配信の形になりました。アーカイブ映像は、上記リンクよりいつでもご覧いただけます。
全編を通して情報保障として手話通訳と文字通訳がついていますので、ぜひご覧ください。
この記事では、見どころをいくつかご紹介したいと思います。

農林水産省・厚労省両大臣からもお祝いのメッセージ

ノウフク・アワード2020表彰式は、実施主体である農福連携等応援コンソーシアムの皆川芳嗣会長からの開会挨拶ではじまりました。

その後、各界のみなさまから届いたお祝いのメッセージをご紹介。農林水産省の野上浩太郎大臣からは、受賞団体を含む応募団体の全ての取り組みがノウフク・プロジェクトのスローガン「みんなで耕そう!」にふさわしく、障害の有無、世代、職業などの垣根を越えていくつもの価値を生み出し、地域の大きな支えになっていることに対して敬意が示されました。

厚生労働省の田村憲久大臣からは、農福連携が障害分野のみならず、認知症のある高齢者への支援や、生活困窮者などへの就労訓練に広がりを見せており、農福連携の可能性を感じているとのコメントがありました。

経団連副会長・農業活性化委員長の佐藤康博みずほフィナンシャルグループ会長、全国農業協同組合中央会の中家徹代表理事会長からもお祝いの言葉をいただきました。

ノウフク・アワード初代グランプリは、社会福祉法人白鳩会 花の木農場に決定!

次はいよいよ表彰式です。ノウフク・アワード審査員から、優秀賞16団体と、その中から選ばれた審査員特別賞、グランプリの発表がありました。

ノウフク・アワード初代グランプリに輝いたのは、社会福祉法人白鳩会 花の木農場(鹿児島県南大隅町)さん!
花の木農場は、鹿児島県南大隅町で、1972年から障害がある方の働き場所の確保のために農業に取り組み、現在は45haの敷地で生きづらさや働きづらさを抱える多様な人が農畜産業や食品加工、レストランに携わっており、ノウフクのパイオニア的存在です。

受賞理由として、村木厚子審査員からは「花の木農場は、障害がある方だけでなく、生きづらさや働きづらさを抱えるたくさんの人たちの仕事を生み出し、地域にたくさんの雇用と人々との交流を生み出している。また、特に素晴らしいのは、花の木農場が長い間このような地域づくりを続けてきて、さらに今も進化を続けている点であり、初代グランプリにふさわしい」と説明がありました。

受賞を喜ぶ花の木農場のみなさん

受賞を受けて花の木農場の皆さんからも「農業を始めて50年。初代からいる利用者さんから若い利用者さんに囲まれて、この喜びを一緒に味わっています。本当に厳しい自然の中で、暑いときも、雨の日も、寒いときも第一線で障害者の方たちが一生懸命働いてきた、継続した力が、この賞につながったと思います」と喜びのコメントと素敵な笑顔が届きました!

審査員特別賞、優秀賞も素晴らしい取り組み目白押し

ノウフク・アワード2020では、グランプリの他に、「人を耕す」、「地域を耕す」、「未来を耕す」の3つの分野の審査員特別賞と、地域において農福連携を推進するための基礎固めをする取り組み、将来に向かって新たな分野を切り拓いていく取り組みなどを行う4団体、合計7つの団体が審査員特別賞に選ばれました。

「人を耕す」の部は、障害者だけでなく、触法障害者など社会的な生きづらさを抱える多様な人々に対して農福連携を通して活躍の場を創出し、多様性のある社会の創出の実現を図っている社会福祉法人南高愛隣会(長崎県雲仙市)が受賞しました。

「地域を耕す」の部は、農福連携を通した地域再生を目的に、農業の衰退や高齢化が進展する中山間地域において、農業だけでなく、レストランや直売所等で障害者の活躍の場を創出し、地域活性化を図っている社会福祉法人青葉仁会あおはにファーム(奈良県奈良市)が受賞しました。

「未来を耕す」の部は、ノウフクJASの取得など、様々な手法を通じたノウフクの社会的認知向上や販路の拡大など、先進性や独創性の富んだ取組を行っている株式会社ウィズファーム(長野県松川町)が受賞しました。

また、地域において農福連携を推進するための基礎固めをする取り組みとして、「特定非営利活動法人香川県社会就労センター協議会(香川県高松市)」、「松本ハイランド農業協同組合(長野県松本市)」、「全国農業協同組合連合会大分県本部(大分県大分市)」の3団体が審査員特別賞を受賞しました。

最後に、将来に向かって新たな分野を切り拓いていく取り組みとして特定非営利活動法人HEROES(京都府京都市)が審査員特別賞を受賞しました。

No.都道府県市区町村団体等名
1宮城県松島町一般社団法人松島のかぜ
2福島県泉崎村社会福祉法人こころん
3埼玉県熊谷市 埼玉福興株式会社
4新潟県長岡市認定・特定非営利活動法人UNE
5福井県あわら市特定非営利活動法人ピアファーム
6長野県松本市松本ハイランド農業協同組合
7長野県松川町 株式会社ウィズファーム
8京都府京都市特定非営利活動法人HEROES
9京都府京田辺市社会福祉法人京都聴覚言語障害者福祉協会 さんさん山城
10奈良県奈良市社会福祉法人青葉仁会 あおはにファーム
11鳥取県米子市 株式会社シルクファーム
12島根県出雲市社会福祉法人喜和会 障害者支援施設太陽の里
13香川県高松市特定非営利活動法人香川県社会就労センター協議会
14長崎県雲仙市社会福祉法人南高愛隣会
15大分県大分市全国農業協同組合連合会大分県本部
16鹿児島県南大隅町社会福祉法人白鳩会 花の木農場

グランプリと審査員特別賞7団体、そして優秀賞に選ばれた16の受賞団体の詳しい事業内容を知りたい方は、こちらの記事内にあります各団体ご紹介PDFもぜひご覧ください!

ノウフクWeb ノウフク・アワード2020結果発表
https://noufuku.jp/award/award2020/result/

TOKIO城島茂さんの「ノウフク・プロジェクト」オリジナルムービー初公開!

ノウフク・アワード2020表彰式に続いてノウフク・シンポジウムが開催されました。
オープニングでは、TOKIO城島茂さんによるノウフク・プロジェクトオリジナルムービーが初公開されました。

オリジナルムービー
https://noufuku.jp/magazine/vol-2

2019年に「農福連携等応援コンソーシアム」設立のきっかけとなった政府の農福連携等推進会議において、これまでの農業分野でのご活躍が評価され、有識者として出席されたTOKIOの城島茂さん。
2020年11月には、二子玉川で開催された「ノウフク・マルシェ2020」にも忙しい合間をぬって出店者の皆さんの激励に駆けつけるなど、農福連携の取組みに強い関心を持って応援くださっています。
城島さんがこれまで20年以上、農業の現場に携わられてきたことに加え、福祉にも深い関心を寄せる城島さんならではの言葉で「ノウフク」の活動と新たな価値についてご紹介くださいました。

村木厚子さんによる基調講演:「ノウフク」が目指すもの

ノウフク・シンポジウムの基調講演では、ノウフク・アワード2020の審査員も務めていただいた、津田塾大学総合政策部客員教授の村木 厚子さんから「『ノウフク』が目指すもの」をテーマに講演いただきました。

まず、「ノウフクの目標とは何か?」というところからお話を始めた村木さん。農福連携等応援コンソーシアムの目標である「地域に暮らす全ての人が豊かで幸せに生きられる」をご紹介くださいました。これは、コンソーシアムの運営メンバーがワークショップを通じて言語化し、ノウフクを推進する皆さんと共有してきたものです。

次に、村木さんはノウフクの具体的な取り組みとしてノウフク・アワード2020でグランプリを受賞した花の木農場さんはじめ、複数事例をご紹介くださいました。
その上で、ノウフクの面白さは、障害のある人の働く場ができるだけでなく、農作業のやり方が変わる、人手があるので付加価値の高いものが作れるようになる。労働環境が良くなって生産性が上がるなど素晴らしいことがたくさん起こる点にあるとご説明。その理由として「異なるものがつながる」をキーワードとして挙げられました。
今まで別々の道を歩いてきた農業と福祉の接点ができることで、化学反応が起きて新しい価値の創造や地域社会の発展につながる、それがノウフクの良さだと考えているそうです。

さらに「異なるものとつながる」力がこれから日本を素晴らしい国にしていく上で重要性であると村木さんは強調します。OECDの調査によると、日本人は技術力や人材のスキルの面ではOECD諸国の平均より上だが、「異なるものとつながる力」がとても弱いことがわかっているそうです。
そこでまさに「異なるものとつながる」ノウフクの力と魅力が日本を今後素晴らしい国にしていく可能性をもっていると説明します。

最後に、ノウフクに参加、応援する様々な方法について、「農福連携の担い手になる以外にも買って応援する、食べて応援する、農地を提供する、農業技術を提供することもできます」とし、「そして、ノウフクは農地を耕すだけではなく、人を、地域を耕します。そして、未来を耕します。こういう『耕すみんな』に皆さんになって欲しいと思っています。そして、『耕すみんな』を応援する人に皆さんになってほしいと思います」という言葉で講演を結びました。

基調講演の映像は、45分頃からご覧いただけます
https://www.youtube.com/watch?v=72rb_LPyoiA&t=195s

アワード受賞事例に学ぶノウフクの価値

次に、ノウフク・アワード2020のグランプリ、審査員特別賞を受賞した8団体から、農福連携の取り組みや目指していることについてプレゼンテーションがありました。

ここでは皆さまのプレゼンテーション時のお写真のみご紹介しますが、いずれの取り組みも個性的で先進的なものばかり。ノウフクの価値や具体的な取り組み方法を学びたい方はぜひ動画をご覧ください。

プレゼンテーションの映像は、1時間12分頃からご覧いただけます
https://www.youtube.com/watch?v=72rb_LPyoiA&t=195s

社会福祉法人白鳩会 花の木農場 総務 天野雄一郎様
社会福祉法人南高愛隣会 あいりん(就労B型・自立訓練)・ハローフレンズ(就労B型)・いこいのひろばおおぞら(生活介護)管理者 宇野光央様
社会福祉法人青葉仁会 あおはにファーム 障害者支援施設あおはにの家所長 兼 あおはにファーム所長 窪田公和様
株式会社ウィズファーム 代表取締役 森下博紀様
香川県社会就労センター協議会 コーディネーター 阿部隆弘様
松本ハイランド農業協同組合 営農部営農企画課課長代理 鎌伸吾様
全国農業協同組合連合会大分県本部 営農開発部営農対策課 久恒利通様
特定非営利活動法人HEROES 理事長 松尾浩久様

トークセッション「みんなで耕そう!」

ノウフク・シンポジウムの最後は、ノウフク・アワード2020グランプリ、特別賞受賞団体のみなさんとのトークセッションです。テーマは「みんなで耕そう!」

農福等応援コンソーシアムの皆川会長、農福連携コーディネーターの沖村さやかさん、ノウフク・プロジェクトファシリテーターの平原礼奈さんが聞き手となり、みなさんとの対話が繰り広げられました。

皆川会長、沖村さん、平原さん3人でトークセッションへの期待を出し合い「楽しみですねー!」

登壇者のみなさま

  • 社会福祉法人白鳩会 理事長 中村隆一郎様
  • 社会福祉法人南高愛隣会 あいりん(就労B型・自立訓練)・ハローフレンズ(就労B型)・いこいのひろばおおぞら(生活介護)管理者 宇野光央様
  • 株式会社ウィズファーム 代表取締役 森下博紀様
  • 香川県社会就労センター協議会 コーディネーター 阿部隆弘様
  • 特定非営利活動法人HEROES 理事長 松尾浩久様

トークセッションの映像は、1時間50分頃からご覧いただけます
https://www.youtube.com/watch?v=72rb_LPyoiA&t=195s

ノウフクについて知ってもらう、伝える点に課題がある

少しだけ、トークセッションの様子をご紹介したいと思います。

まず、ノウフクに取り組む上で感じている課題について白鳩会の中村さんからは、ノウフクの認知は農業と福祉の当事者にはだいぶ広がってきているという実感があるものの、農福連携の先にいる消費者や地域住民にはまだまだ広がっていないという課題が示されました。

その解決方法として、SDGsが掲げる多様性やパートナーシップとノウフクの理念が共通することから、SDGsに関心のある多くの人にノウフクの理念を伝えていける可能性があるのではないか、というお話がありました。

ウィズファームの森下さんからも、YouTube等でノウフクについてPRをしているものの消費者まで伝わっていない課題が示されました。ノウフクの価値が消費者に伝わることで、商品であるりんごの単価アップにもつながり、それは作業を行う利用者さんの工賃のアップにもつながるため、ノウフクのPRの場をもっと増やしたいというお話がありました。

ノウフクの現場が抱える「トイレ問題」

次に、ノウフクに取り組む多くの団体から挙げられたのが「トイレ問題」です。
南高愛隣会の宇野さんからは、施設外就労の際に利用者さんがトイレに行くたびに職員が1人付いて近くのコンビニや公民館にトイレを借りに行く必要があるため、本来的な活動ができなかったり、トイレの場所が遠いので作業に参加できない利用者さんが出てくるなどの課題があるとのお話がありました。

また、香川県社会就労センター協議会の阿部さんは、トイレの問題は昼食休憩とセットで捉えているとご発言。香川での事例をご紹介くださいました。

白鳩会の中村さんからは、花の木農場では広大な農場内に浄化槽を設置してトイレの建物を造っていること、それでもトイレの数がたりないというお話がありました。白鳩会では、環境負荷が少なく浄化槽に依存しない、小型で低コストなトイレの導入も検討しているとのことでした。

トイレ問題に関するみなさんの発言を受けて、皆川会長からは、農福連携等応援コンソーシアムには民間の企業が多く参加しているので、そのような企業の方々とこのトイレ問題について議論する場を作ってもいいのではないかとコメントがありました。

トイレについての話題は大変盛り上がり、「ノウフク・トイレプロジェクトが立ち上がりましたね!」とファシリテーターの平原さん。今後もみなさんと探究を進めていきたいテーマだと共有しました。

未来に向けたノウフクの可能性

その後、農業と福祉のマッチングにおける課題や、高齢化対策に向けた視点、未来に向けたノウフクの可能性について、ITの活用や高齢化に対応するためのパワースーツ活用のお話など、対話が深まっていきました。

HEROESの松尾さんからは、過疎地域での特産品をつかったクラフトビールコラボの企画、林業や学生さんとの連携など多様な連携の実践を共有いただきました。立場が違う人が持つそれぞれの課題を共通の課題として解決していく視点など、教えていただきました。
クラフトモルティングの新たな構想もお話しくださり、興味のありそうな方はぜひ一緒に!と呼びかけていらっしゃいました。

トークショーは大変盛り上がり、わきあいあいとした雰囲気の中、終了となりました(収録終了後も、みなさんのお話はしばらく続いたようです^^)

最後に、農福等応援コンソーシアムの皆川会長から、「今日のトークセッションを通じて、いろいろな意味で頭の中が耕された感じがします。ノウフク・アワードに『人を耕す』『地域を耕す』『未来を耕す』という部門があるように、今日のお話の中でも、人を耕してその人の新しい能力を喚起した事例、地域を耕して今までになかったような形で地域を活性化した事例、未来を耕して未来に向けた様々な展望を我々に与えてくれた事例など、様々な事例を知ることを通じて自分自身の様々な面も耕すことができると感じました。ノウフク・アワードは今日が表彰式でしたが、同時に新しいノウフクの展開のスタートにもなったのだと思います」とコメントがあり、トークセッションは並びにノウフク・シンポジウムは終了しました。

簡単なご紹介になりましたが、ノウフク・アワード2020表彰式とノウフク・シンポジウムの動画をぜひご覧いただき、受賞のみなさまの取り組みや思いから、ノウフクの可能性を感じとっていただければと思います!

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