ノウフクマガジン#38

どこでも・だれでも・いつでもトイレ
ノウフク×〇〇
NEW 2022年8月31日

どこでも・だれでも・いつでもトイレ

みなさんこんにちは。ノウフク・ラボ運営チームの天野です。

以前ノウフクマガジン#8で紹介したように、私 天野が担当するコラムでは、「ノウフク×〇〇」の〇〇の部分について、日頃の実践や探求や挑戦や迷いや違和感やモヤモヤをストレートにお伝えしながら、思ったこと感じたことをありのままにお届けしていきたいと思います。

今回のテーマは「トイレラボ」

さてさて今回は、私も昨年度から運営に関わっている、農福連携等応援コンソーシアムが運営する事業の一つ、「ノウフク・ラボ」の中の「トイレラボ」について、お話ししたいと思います。皆さんにノウフク・ラボ及びトイレラボ、また、農福連携の現場が抱えるトイレ問題について知って頂き、ラボへのご参画やアドバイス等頂くことができれば嬉しいです。少しとっつきにくい、キラキラしたことに聞こえるようなことも敢えてお伝えしますが、どうぞお付き合い下さい。

ノウフク・ラボとは

ノウフク・ラボは、「異なるものとつながる力!」を合言葉に2021年度に誕生しました。多様な立場の〝みんな〟がノウフクを真ん中に研究員としてつながり、様々なテーマの探求を進めています。ノウフクというもの自体が新しい社会デザインの仕組みとして、SDGsの達成にも貢献すると注目を集めていますが、それをさらに加速させるものとして、自ら学ぶ人たちが生み出す「共創」に着目したのがノウフク・ラボです。いま私たちが生きるこの社会で必要だと言われているイノベーションは、まさに「異なるものと越境してつながる」ことで起こるとも言われています。

ノウフク・ラボ

ノウフク・ラボでは、学び合いながら課題解決することを「研究」と位置づけており、ノウフク・ラボは越境し、共に学び、課題を持ち寄り、それを多様な視点で解決するというイノベーションの種を育てる、まさに「研究所」なのです。この活動の中で、Good Practice(優れた実践知や取組)を増やすことが、ノウフクそのものを推進していく力になると考えています。

2021年度のノウフク・ラボの活動はこちら

複雑なトイレ問題

社会にはトイレマネジメントが必要な方がいます。私はノウフクの活動を通して、現場で、障がいのある方々と関わって、それを知ることができました。施設外就労先の畑の近くにトイレがない、あったとしてもバリアフリーではない、清潔感がない、快適性が低いなど、一般的な問題だけでも、挙げるとキリがありません。そして、障害のある方の中には排せつを我慢することが難しい方や、薬などの影響で頻繁にトイレに行く必要がある方、広いスペースを必要とする方もいます。また、トイレに行くことで気持ちの切り替えができる良い意味での「休憩場所」として利用している方もいるように見受けられます。このように、農福連携におけるトイレ問題は様々な課題が複雑に絡み合っていること、また、トイレが単に排泄をする場所以上の意味を持っていることがわかります。

そして、個人的な話で大変申し訳ないのですが、私自身がトイレマネジメントの必要な難病患者であり、トイレ問題にはとても興味関心を持っています。トイレラボを運営するご縁に恵まれたことに感謝しながら、今後も活動を進めていきたいと思っています。

トイレラボとは

上述したような現場の問題が共通認識としてある中、トイレラボは、ノウフクアワード2020表彰式&シンポジウム内のトークセッションで、この問題がクローズアップされたことがきっかけで発足しました。先述した通り、トイレ問題は現場からも多くの声が聞かれているにもかかわらず、実際には解決への糸口がつかめていないのが現状です。ノウフクの活動領域が広がりを見せ、国民活動となりつつある今、議論や対話を進め解決すべき課題です。まさにノウフク・ラボのコンセプトである「異なるものとつながる力!」をフル活用して、具体的な成果を生み出し、社会に実装することを目指すのが、このトイレラボです。

活動報告―1年目―

2021年11月に行われた第1回のトイレラボでは、ワークショップ形式でメンバー間の課題観や思いを共有したり、今後の進め方について対話を深めたりして、ビジョンを決定しました。そして、決定したビジョンである「どこでも・だれでも・いつでもトイレ」が実現された未来を創るべく、様々な思いやアイデアの対話を継続的に進めました。さらに、トイレラボの研究員である広島の事業所「アソシエイトファーム」での「トイレキャンプ(トイレ問題に関する意見交換の場)」では、障がいのある方々とのフィールドワークや、地域の多様なステークホルダーを交えた「ダイヤログインザトイレ」をおこなうこと、日々のメンバー間のやりとりをアイデアソン(「アイデア」と「マラソン」が掛け合わさって出来た造語で、決められた時間の中でグループごとにアイデアを出し合い、ブラッシュアップさせてその結果を競うイベント)的なものとして活用し課題の絞り込みをおこなうことと決まりました。

そして、12月の第2回目のトイレラボでは、トヨタ自動車が開発したモバイルトイレの事例を聞くことで企業の取組や先進事例、課題を知ることができ、ノウフクトイレラボとの親和性や連携の可能性を実感。また、その後の時間でメンバー間での対話を更に深めることで、「トイレキャンプ」での具体的な方向性を共有していきました。

「トイレキャンプ」は2022年2月に予定していましたが、コロナウィルス感染拡大を受け延期を余儀なくされてしまったので(研究員一同広島にうかがう気満々だったのですが、、、)、リアルキャンプ前のノウフクトイレリモートキャンプ」を実施することになりました。広島県及び東広島市の農福連携推進ご担当や実践事業者、ノウフク現場で働く障がいのある方もご参加くださり、時間を延長して3時間に渡るワークショップに。残り時間が少なくなってもなお「これは言っておきたい」とたくさんの手があがり、盛況のうちに1年目の幕を閉じました。

農福連携のトイレ問題を考えることは、
社会全体のトイレ問題を考えることだ!

トイレ問題とひとことに言っても、「『ハードとしてのトイレ』が必要なだけなのか」「地域の公民館やコンビニに協力を呼びかけたり、地域のトイレをマッピングしたりする『ソフトとしてのトイレ』も必要ではないのか」「購入の際はどの主体が買って誰が所有するのか」「有事の際やイベントにも活用できるのではないか」など、トイレラボでは対話を通して様々な問いを探求してきました。

そして、トイレマネジメントを必要としているのはノウフクの現場で働く障がい者の方々だけではないということ(私のような難病患者も、、、)、トイレの課題が共通していることもあるということが、対話を通じてわかってきました。そんな問いも含めて、トイレラボはこれまで、「ノウフクを真ん中に置いたトイレという問い」を探求してきたと言えます。農福連携のトイレ問題を考えることは、社会全体のトイレ問題を考えることにつながるということがわかってきたのです。

いよいよ2年目!社会実装を目指して

1年目の成果としては、つながることのできた研究員と共に先進事例を学んだり、トイレ問題を多様な視点で考える対話の場を創出することができたことだと考えています。

まだまだやるべき事の多いトイレラボの2年目は、社会実装を目指した課題の可視化や企業等への働きかけなどに挑戦していきます。また、引き続きトイレラボにご参画いただいているノウフク現場の障がいのある方はもちろん、トヨタ自動車のご担当者、学識者、行政の方々、トイレラボの研究員と共に、みんなで進めていきたいと思っています。

2022年度のトイレラボに、どうぞご期待下さい。

投稿者: 天野 雄一郎

NPO法人たがやす理事。大隅半島ノウフクコンソーシアムプロジェクトマネージャー。農林水産省認定農福連携技術支援者。ノウフクJAS検査員・ASIAGAP指導員。2030SDGsファシリテーター。社会福祉法人白鳩会花の木農場元総務。農福連携やSDGsの文脈でローカルでの場づくりや組織づくり、連携から創発されるプロジェクト運営を行う。

ノウフク・マガジン

ノウフク最前線の読みもの&ニュース
View all